抄録
目的:地域在住の高齢者の孤独感を評価するための尺度として国際的に標準化されているUCLA孤独感尺度の日本語版を開発し,その信頼性と妥当性を検証する.方法:研究対象は,A政令市B行政区において無作為抽出された65歳以上の住民1,000人である.研究方法は,無記名自記式質問紙調査(郵送法)であり,調査項目は,日本語版UCLA孤独感尺度,基本属性,抑うつ,ソーシャルネットワーク・ソーシャルサポート,主観的健康観ならびに客観的健康状態,地域関連指標とした.結果:回答者は,540人(54.0%),平均年齢は73.6±6.8歳男性225人(50.8%),女性218人(49.2%)であった.日本語版UCLA孤独感尺度は最小20.0〜最大78.0点であり,平均は,42.2±9.9点(男性44.0±9.1点,女性40.6±10.4点)で分布の正規性が認められた.Cronbachのα係数は0.92であり,尺度総点は,GDSの合計得点とは有意な正の相関を示し(r=0.52,p<0.01),さらに主観的健康観とは有意な負の相関(r=-0.26,p<0.001)をおのおの示した.結論:UCLA孤独感尺度の日本語版は,信頼性と妥当性を有した,わが国における高齢者の孤独感を評価するための尺度として有用である.