抄録
目的:地域における高齢者と子どもの世代間交流プログラムの効果的な実践に向けて,文献レビューを通して世代間交流プログラム介入と期待される効果について検討した.方法:データベースは医中誌Web,国立情報学研究所論文情報ナビゲータ(CiNii),PubMed,CINAHL Plus with Full Text,PsychINFO,SocINDEX,Journal of intergenerational relationships誌を用いた.2001〜2010年に発表された26論文を対象に,アウトカムモデルを使用し分析した.結果:対象はおおむね60歳以上の高齢者と,子どもは幼稚園児から大学院生まで多様であり,子どもの年齢によりプログラムの違いがみられた.両世代に共通する効果は,(1)相互理解,(2)世代継承性の増加,(3)心理的well-beingの向上,(4)身体的well-beingの向上,(5)社会的well-beingの向上,(6)人間関係の広がり,(7)地域共生意識の向上,に整理された.結論:世代間交流プログラムはwell-beingの向上と地域づくりに有用な方法であることが示唆された.対象の年齢やニーズにより目的を明確化し,両世代に共通するアウトカムを中心においたプログラム開発ならびに理論に基づく方法論の確立が必要である.