日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
新生児家庭訪問における信頼関係構築 : 母親の反応に対する保健師の判断を通して
大西 竜太深川 周平石間 のどか堰根 怜子平野 美千代佐伯 和子
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2012 年 15 巻 1 号 p. 89-98

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抄録

目的:本研究は,新生児家庭訪問における信頼関係構築について,母親の反応に対する保健師の判断を通して明らかにすることを目的とした.方法:経験年数10年以上の保健師10人を対象に半構成的面接を行った.データは質的帰納的に分析し,保健師が認識する信頼関係構築として6カテゴリーを抽出した.結果:母親の反応から保健師が判断した信頼関係は,【母が保健師を客人として拒否せず受け入れる】段階(Stage 1)から始まり,コミュニケーションを通じ【母が保健師を身近な存在としてとらえる】段階(Stage 2),【母が保健師を専門職の支援者ととらえる】段階(Stage 3)へと進んだ.そして,育児方法を共に考え,育児について感情を共有し合うことで【母が保健師と感情を共有し合う】段階(Stage 4)へと発展し,さらに両者の関係が深まり【母が安心して自身の思いを表出する】段階(Stage 5)へと進んだ.最終的に保健師が判断した母との信頼関係は【母が保健師との支援関係を肯定的にとらえる】段階(Stage 6)へ発展していった.考察:母親の反応から保健師が判断した信頼関係は,"人と人"の一般的な関係を通じ,"サービス受給者と専門職"の関係を経て,"共同"の関係に発展していくと考えられた.そして,Stage 1を基盤にStage 2からStage 5の4つの段階がそれぞれを前後しながら質的に深まり進展していくことが示唆された.

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© 2012 一般社団法人 日本地域看護学会
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