抄録
目的:地域包括支援センター保健師が,高齢者が介護保険サービスなどを利用しながら地域で暮らしていくために地域住民と協力して行った個別支援の内容を明らかにする.方法:地域包括支援センターに所属する経験年数2年以上の保健師9人に半構造化面接を行った.サービスを導入しながら,地域住民と協力して行った事例について語ってもらい,質的記述的に分析した.結果:地域包括支援センター保健師の支援内容に関するカテゴリーは,《高齢者の情報がはいってくるように広く地域住民とつながりをつくる》《相談や通報をきっかけに現状を把握し,支援の見通しを立てる》《近隣住民を巻き込んだ支援体制をつくる》《近隣住民の支える気持ちを引き出し,近隣住民の支援する力を高める》の4つであった.結論:地域包括支援センター保健師が地域住民と協力して行った個別支援の特徴は,高齢者の情報が地域包括支援センターにはいる仕組みづくりと,近隣住民が支援する力の強化であった.後者はコミュニティ・エンパワメントのプロセスと類似していた.