2012 年 15 巻 1 号 p. 133-143
目的:禁煙支援を実践するための基礎資料を得るため,日本で実施されている禁煙支援についての実態を把握する.方法:(1)文献を禁煙支援が実施されている地域,事業所,医療機関,学校の4つの分野に選別し,1つひとつの具体的な実施内容を抽出した.(2)具体的な実施内容から,対象者を不特定多数として実施したものや,講演会および教室の開催,対象者を限定し個人を対象とした教育など,実施内容の特徴によっていくつかの種類に分けた.(3)分けられたものを禁煙支援の内容とし,地域事業所,医療機関,学校の分野別に表に整理した.結果:禁煙支援の内容は,『キャンペーン』『禁煙治療』『講演会および教室の開催』『個人を対象とした教育』『通信による支援』『測定および検査』『教育媒体の作成および配布』『教育媒体の展示および掲示』『薬剤処方』『職員や関係機関への研修』『環境の整備』に分かれた.各分野によって実施内容と対象についての特徴がみられ,地域においては,ほかの分野よりキャンペーンや講演会および教室の開催が多く,禁煙についての普及,啓発活動がされていた.喫煙を開始しないための子どもを対象とした支援は数少なかった.禁煙支援の評価項目として,禁煙の継続・非継続が最も多く用いられていた.結論:禁煙支援の対象,方法によっては関係機関との連携が不可欠であり,子どもを含めた喫煙・非喫煙にとらわれない社会全体への禁煙支援が必要であることが示唆された.