2013 年 15 巻 3 号 p. 51-62
目的:本研究の目的は,保健師の施策化における説明力の向上を狙った学習成果創出型プログラムを用いた研修を行い,その効果を検証することである.方法:対象はA保健所管轄内自治体の中堅期保健師全11人である.効果のアウトカム評価は,学習プログラムの実施前後に3つの評価表を用いて測定した.プロセス評価は,学習に用いたワークシートと研修中の逐語録のデータから変化過程における必須通過点の通過を確認した.結果:「活動の必要性と成果をみせる能力振り返りシート」では全参加者が39項目中5項目以上で上昇し,1人平均12.6項目上昇した.「保健師の専門性発展力尺度」では全体および「専門性の伝承と発展」「活動原則の励行」「自己責任の能力開発」で有意に上昇した.「保健師の専門職務遂行能力の自己評価」では全体および「地域支援及び管理能力」で有意に上昇した.さらに,「活動の必要性と成果をみせる能力」向上を目指した3人と「専門性の確立」を目指した8人が必須通過点「学習計画を立て,実践を行う」に到達した.また,参加者全員が施策化における説明力を自分に必要な能力であると認識した.考察:本プログラムの実施は自治体保健師の施策化における説明力向上に効果があることが確認され,今後,このプログラムの自治体での現任教育への適用可能性が示唆された.