抄録
目的:脳卒中患者が急性期病院から回復期リハビリテーション病院に転院する際の退院支援・退院調整における情報連携について,困難度に関連する背景を明らかにする.方法:急性期病院590か所の退院支援・退院調整専門部署所属看護職員に質問紙調査を実施した.対象を情報連携時「困難あり」「困難なし」「どちらでもない」の3群に分けて従属変数とし,病院の基本情報,連携時・自院・連携先・患者・家族の背景との関連を単変量解析と順序ロジスティック回帰分析で調べた.結果:有効回答139件を分析した.急性期病院内の背景「院内の職種・部署間が組織的に対立し連携体制の構築ができない」「役割分担が不十分」「連携先の機能や役割に対する理解不足」「職員間の退院支援・調整レベル(能力)の差」「職種間の退院支援・調整レベル(能力)の差」と,連携先の背景「職員間の退院支援・調整レベル(能力)の差」が困難度と有意に関連した.特に「職員間の退院支援・調整レベル(能力)の差」がある場合と「連携先の機能や役割に対する理解不足」がある場合,情報連携を困難と感じる割合が高かった.結論:情報連携時の困難解消のため,職員間の情報連携の能力差と連携先に関する知識不足の解決に向けた業務遂行基盤構築や学習機会の設置,院内職員に対する地域内の機能・役割分担の周知,地域内で連携に関する教育を充実する必要性が示唆された.