2016 年 19 巻 2 号 p. 58-65
目的:A町健康づくり推進員活動の支援過程を通して,推進員の主体性獲得に必要な要件の構造を明らかにする.
方法:各地区定例会の支援者が記載したプロセスレコードを用いた.推進員が主体的な態度・行動を示したと支援者がとらえた箇所について,支援と推進員の態度・行動の内容を支援者に確認した.
結果:支援者が行った支援の15カテゴリー,推進員の態度・行動の10カテゴリーを公衆衛生看護活動のPDCAサイクルに沿って構造化した.支援過程の中心にある定例会では,推進員間,推進員と支援者での“話し合い”がなされていた.さらに,推進員間の“話し合い”を円滑にする⦅推進員に求められる要件⦆と,支援者と推進員の“話し合い”を円滑にする⦅支援者に求められる要件⦆があり,支援者間の“話し合い”を行うための事務局検討会・支援者検討会・課内会議の⦅行政内の体制整備⦆が行われていた.
考察:推進員の主体性獲得に必要な要件の中核には“話し合い”があり,“話し合い”と関係性の構築の相互作用が主体性獲得の促進につながることが明らかになった.このことから,行政保健師等の支援者は“話し合い”を活動のなかに意識的に位置づけて推進員間,推進員と支援者,支援者間で行い,“話し合い”が円滑に行われるような推進員・支援者それぞれに必要な要件の強化と整備を行うことが必要であると考えられた.