日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
小児在宅高度医療を行う家族の主観的well-beingと家族関係に関する研究
足立 登志子金谷 絵美藤田 真実伊藤 美樹子千代 豪昭三上 洋
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2000 年 2 巻 1 号 p. 61-68

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抄録

目的:小児の在宅高度医療を行う家族の主観的well-beingの規定要因を明らかにし,主観的well-beingの保持・増進について検討することを目的とした.方法:大阪府医師会勤務医部会に平成4年に発足した小児の在宅医療システム検討委員会が,平成9年に実施した「家族のQOLに関するアンケート」(回答51家族)に対し2次的アプローチを加えた.質問は,(1)対象家族の基本的属性,(2)対象家族の生活状況,(3)在宅医療開始に伴う患児の変化,(4)在宅医療開始に伴う両親の生活の主な変化,の4群から構成された。回答を尺度化・カテゴリー化し,以下の解析を行った.結果:主観的well-beingとして「在宅医療に対する満足度」,「在宅医療の家族への影響に対する評価」を選び,まず相関分析行い,有意な単相関を示した項目を独立変数として重回帰分析を行った.その結果,「在宅医療に対する満足度」は家族関係のよさ,行動範囲の拡大,配偶者の賛成によって規定され,「在宅医療の家族への影響に対する評価」は家族関係のよさ,行動範囲の拡大,きょうだいの有無に規定されていた.さらに,家族関係のよさは社会資源の活用,肉体的疲労の軽減,父親の家族との対話時間の増加,きょうだいの有無によって規定されていることが明らかになった.結論:小児在宅高度医療を行う家族の主観的well-beingは,介護者である母親の身体的疲労の軽減とともに,きょうだいの存在や父親の関与などによって得られる,患児と介護者を取り巻く良好な家族関係に影響されることが示唆された.

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© 2000 一般社団法人 日本地域看護学会
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