日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
行政に働く保健婦の活動を素材とした看護の機能に関する教育効果
安田 貴恵子俵 麻紀河原田 美紀御子柴 裕子北山 三津子
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2000 年 2 巻 1 号 p. 76-79

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抄録

行政における看護の機能についての理解を深め,役割追求の動機付けを高めることをねらいとし,ベテラン保健婦の活動を素材にした授業を試みた.講義終了後の学生レポートの記述内容から学びを取り出し,教育評価を行った.抽出できた記述は288件あり,8項目18細目に分類できた.8つの項目は以下のとおりである.(1)住民主体を基本とした活動,(2)多様な人々と共同したサービス堤供,(3)住民のニーズに沿い健康生活の営みを支援する,(4)地域で働く看護専門職に必要な知識・能力,(5)地域住民に対する責任性,(6)援助のあり方・方法,(7)保健婦活動の工夫,(8)その他,であった.最も多くの学生が学びを得ていたものは,項目1で64人(76.2%)であった.次いで項目2が46人(54.8%),項目3が44人(52.4%)であった.項目4の内容は,幅広い分野に及ぶ知識の必要性,積極性や協調性が求められることであった.保健婦の活動史を直接聴くことにより,住民のニーズに応じできた活動を知ることに加えて,専門職として自己研鑽をしてきた努力や保健婦の人間性までも学生は学びとっていると推測された.一方,項目5は24人(28.6%)と学びを得た学生は少なく,地域住民に対する責任性に関する内容について,今後の授業内容および実習指導の中で意図的に教授する必要がある.

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© 2000 一般社団法人 日本地域看護学会
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