2017 年 20 巻 1 号 p. 31-40
目的:HOT導入患者に対する病棟看護師の退院指導の実施内容とそれら関連要因を検討することを目的とした.
方法:首都圏内の地域医療支援病院において,HOT導入患者の退院指導を実施した病棟看護師を対象とした質問紙による郵送調査を行った.HOT導入患者の退院指導の実施内容を因子分析にて,また,これらの関連要因を重回帰分析で明らかにした.
結果:21施設の病棟看護師86人(回収率62.3%)からの回答が得られ,有効回答数は68人(79.1%)であった.HOT導入患者の退院指導の実施は,「食生活と栄養」「移動方法」「生活環境」「日常生活の工夫」「清潔保持」の5因子が抽出された.「食生活と栄養」「移動方法」に関する退院指導の実施に関連した要因は,退院支援学習会へ参加していること,HOT導入患者プライマリー担当件数がより多いことであった.「生活環境」に関する退院指導の実施に関連した要因は,日常生活自立度が自立またはほぼ自立していること,「日常生活の工夫」に関する退院指導の実施に関連した要因は,HOT導入患者のプライマリー担当件数であった.「清潔保持」に関する退院指導の実施に関連した要因は,勤務している病院においてHOT学習会が開催されていることであった.
考察:退院指導の実施には,日ごろから退院指導の実績を積むとともに,専門的知識を高める学習会等の教育機会の確保や外来部門との連携が必要である.