日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
研究報告
地域密着型サービスにおける看取りの実現に向けての行動と認識
―フォーカスグループディスカッションにより得られたデータの質的記述的研究―
永田 千鶴清永 麻子堤 雅恵
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2018 年 21 巻 1 号 p. 14-22

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抄録

目的:地域密着型サービス(以下,地域密着型)における看取りの実践内容を筆者らの先行研究結果と比較し,看取りの実現に向けての行動や認識の変化を明らかにする.

方法:A市の29か所の認知症対応型共同生活介護(グループホーム)および小規模多機能型居宅介護のうち,フォーカスグループディスカッション(以下,FGD)を主体とする研修に参加した8事業所の職員13人と,BおよびC市のグループホーム職員で話題提供者2人の合計15人が研究参加者である.研究デザインは,質的記述的研究であり,FGDでの発言内容をデータとし,2014年に実施した先行研究の分析結果と比較した.

結果:地域密着型での看取りを実現するための行動として,《看取りの土台づくり》《医師との連携体制》《夜間の看取り体制》《看取り介護加算体制》《緊急時の体制》《住民との協力体制》《法人の方針に沿った看取り》といった【体制づくり】が強化された.また,〈医療機関とは異なるよい看取りをしている〉〈こんな看取りもあると気づいた〉という《肯定的な認識の変化》を認めた.そして《看取り経験による職員の成長》《介護職主体の看取り》を認め,職員は看取りの【力量】を向上させていた.

考察:地域密着型での看取りを実現するために,体制づくりを強化して看取りの実践を積み重ねることで,地域密着型での看取りを肯定的に認識し,医療がない地域密着型だからこそ介護職が力を発揮して看取りを実践していた.

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© 2018 一般社団法人 日本地域看護学会
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