2018 年 21 巻 1 号 p. 56-62
目的:本研究の目的は,発達上の課題がある子どもとその養育者に対し,保育所看護師の支援内容の実際を明らかにし,役割や今後の活動における示唆を得ることである.
方法:質的記述的研究であり,保育所において発達上の課題のある子どもとその養育者に対する支援を行った経験を10例以上もつ看護師5人を対象とした.半構造化面接を実施し,得られた逐語録からカテゴリーを作成した.
結果:保育所看護師が行う支援は4の【カテゴリー】,21の《サブカテゴリー》からなり,カテゴリーとして【看護専門職としての時期に応じたアセスメントと児の発達促進】【養育者と関係性を構築したうえで行う発達上の課題への看護師としての対応】【職員間の共通理解と対応の検討を助ける】【専門機関と保育所をつなぎ専門機関から学んだ内容を園内に広める】から構成された.
考察:保育所看護師は,診断の有無にかかわらず児への対応を行っており,同時に養育者に対して長期的にかかわることでニーズを把握し,園内の多職種,地域多機関連携につなげていた.また,保育士に対して,対応方法の支援と連携を行い,保育所全体の支援体制を確立することで,児と養育者への一貫したかかわりを行うことができると考えられた.一方で,園内で看護師として活動することや,関係機関への連携に課題が挙げられ,保育所看護師の専門性を生かした,さらなる園内と地域における連携が望まれる.