日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
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行政保健師が実践する家族への援助技術と学習ニーズ
中谷 久恵金藤 亜希子
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キーワード: 保健師, 援助技術, 家族看護
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2018 年 21 巻 1 号 p. 50-55

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抄録

目的:本研究の目的は,行政保健師が行う家族への援助技術を明らかにし,保健師の学習ニーズを把握することである.

方法:調査対象者は670人の行政保健師で,調査内容は保健師の属性(年齢,経験年数,所属,基礎教育,看護師経験の有無),家族への援助技術とその学習ニーズである.援助技術は筆者らが既存文献を検討して18項目を作成し,これらに対し「高めたい技術」があると回答した場合を学習ニーズありとした.調査方法は,統括保健師を介して無記名自記式で任意の調査票を配布し,個別に郵送で返送してもらった.

結果:350人から回答があり,正規雇用者で属性に欠損値がない317人を分析対象とした.「高めたい技術」がある保健師は63.4%(201人)で,新任期(p<0.01)や4年制教育(p<0.01)および看護師経験がある保健師(p<0.05)に多かった.学習ニーズの項目数は平均が6.53±4.87で,20歳代(p<0.01)や新任期(p<0.01)の保健師および看護師経験がある保健師(p<0.05)に多かった.

結語:看護師経験がある保健師や新任期の保健師は有意に学習ニーズが高かったことから,保健師の家族援助は行政機関での実務経験により習得される専門的技術であることがうかがえた.大学での基礎教育や現任教育での家族看護に関する教育の重要性が明らかとなった.

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© 2018 一般社団法人 日本地域看護学会
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