日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
研究報告
死別を経験する家族を支えた地域の人々の関わり
小野 若菜子永井 智子
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2018 年 21 巻 2 号 p. 40-48

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抄録

目的:本研究では,死別を経験する家族を支えた地域の人々の関わりがどのようなものかを探索し記述した.

方法:半構造的インタビューによる質的記述的研究であった.研究協力者は,都市部のA市区町村において,地域活動に携わり,近隣の死別の相談を受け,見守ったことのある住民,もしくは,公的機関等に勤務している職員であった.質的記述的にインタビューの内容分析を行った.

結果:研究協力者は13人,平均年齢は69.7歳であった.死別を経験する家族を支えた地域の人々の関わりとして,【助けを求められる地域の関係をつくる】【広くみんなの幸せを願いながら人と関わる】という,いざというときに助けを求められる地域の形成に取り組まれていた.そして,【療養者の介護をする家族を支える】【療養者を見送るなかで家族を見守る】という療養から死までの見守りがなされていた.死後しばらくしてからの関わりとして,【家族のその後の生活を見守る】【家族の心情に添って関わる】ことがあった.

考察:長年の顔見知りの関係性が信頼関係に発展することで近隣の死別を見守るという交流が生じていた.療養や葬儀の見守りを通して近隣の人々がつながる機会にもなる.今後,住民や地域活動に携わるキーパーソンに対して,死別やその支援に対する啓発活動を行い,死別に遭遇する家族を支える地域の育成を促進することが大切である.

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© 2018 一般社団法人 日本地域看護学会
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