日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
研究報告
委託型地域包括支援センター保健師が成長を実感した経験
─行政職歴のない新任期保健師に焦点を当てて─
宇都宮 千都田中 美延里野村 美千江
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 24 巻 1 号 p. 13-22

詳細
抄録

目的:行政職歴のない委託型地域包括支援センター新任期保健師の成長を実感した経験を明らかにすることを目的とする.

方法:対象は,A県内の委託型地域包括支援センターに所属する実務経験1年以上6年未満の行政職歴のない保健師9人である.方法は質的記述的研究であり,半構造化面接によりデータ収集を行った.データから成長を実感した経験に関連する内容を抽出しカテゴリー化を行い,最上位のカテゴリーのまとまりを様相とした.

結果:成長を実感した経験は,【地域への接近による住民との信頼関係構築】【小集団の特性に合わせた健康教育の実現】【個別事例への対応による連携ネットワークの形成】【グループ育成を契機とした地域志向性の向上】の4つの様相で示された.【グループ育成を契機とした地域志向性の向上】には,《グループ立ち上げに向けた包括内での試行錯誤》《近隣包括のモデルを参考にしたグループの立ち上げへの挑戦》《グループ育成を通じた保健師役割の自覚》等が含まれた.

考察:委託型地域包括支援センター新任期保健師は,個別事例の積み重ねにより連携力を高めていた.グループ育成の取り組みにおいて,自組織外に地域づくりのモデルを求めることによって,地域全体をみる視点が培われ,保健師としての成長を実感したと考える.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本地域看護学会
前の記事 次の記事
feedback
Top