日本地域看護学会誌
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市町村保健部門から福祉部門に配置された保健師による家庭訪問援助の特徴
田村 須賀子安田 貴恵子山﨑 洋子髙倉 恭子
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2021 年 24 巻 2 号 p. 40-49

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抄録

目的:市町村保健部門から福祉部門に配置された保健師(以下,福祉部門保健師)による,障害者および児童福祉等の利用者と家族に対する家庭訪問援助の特徴を検討した.

研究方法:福祉部門保健師6人の意図と行為を調査した.保健師には家庭訪問援助事例を記述してもらい,面接にて内容を確認した.7つの分析の視点に関連する記述を事例ごとに取り出し,概観して援助内容を記述した.援助内容の記述の類似性から特徴をまとめた.研究協力依頼に先立ち,所属機関の倫理審査委員会の承認を得た(臨認24-126).

結果:保健師の意図と行為の組み合わせから,20の援助内容にまとめた.「訪問目的を明確にし,伝える方法を検討する」他,福祉の支援が必要な当事者・家族の特性に沿う,福祉部門保健師に新たな援助内容があった.「当事者・家族との人間関係をつくり,支援者として受け入れてもらえるようにする」他,信頼関係形成,緊急性を想定し見守り支援体制づくりに向けた援助内容等は,福祉部門保健師にもあった.

考察:福祉部門でも保健師は,当事者・家族との信頼関係形成,自立した地域生活の実現,近隣住民も含めたケアチームづくり・支援体制整備と,保健師がどの部門に配置されても志向される基本的で不変な援助を提供していた.しかし福祉部門ではさらに,生活の自立と身体・精神的支援ニーズに配慮,安定した生活基盤の確立,近隣住民・関係職種からの支援者確保を判断するところに特徴があると考えられた.

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