日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
研究報告
都市近郊地域の60歳代地域在住者における自覚的疲労感と家庭内役割との関連
仲野 宏子荒木田 美香子長弘 千恵小笹 美子
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2021 年 24 巻 3 号 p. 23-33

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抄録

目的:60歳代地域在住者の自覚的疲労感と家庭内役割との関係を明らかにすることである.

方法:A町在住の60歳代4,970人を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した.家庭内役割を孫の世話,介護とし,調査内容は,自覚的疲労感は蓄積的疲労徴候調査の一部を除く72項目,家庭内役割の状況,生活状況(健康意識・暮らし向き等),保健行動(運動習慣等),健康状態(腰痛や肩痛等)とし,自覚的疲労感を従属変数として二項ロジスティック回帰分析にて検討した.

結果:回収した2,052人(回収率41.2%)のうち記入欠損を除く1,990人を分析対象とした.家庭内役割は,孫の世話のみあり男性11.1%,女性16.3%,介護のみあり男性13.6%,女性15.2%,孫の世話と介護の両方あり男性2.6%,女性3.2%であった.男性の身体的・精神的疲労感に家庭内役割は関連していなかった.女性の身体的疲労感には,介護のみあり(OR=2.52,95%CI:1.57 ~ 4.05),孫の世話と介護の両方あり(OR=3.16,95%CI:1.39 ~ 7.20),精神的疲労感には,介護のみあり(OR=1.72,95%CI:1.07 ~ 2.75)は関連が示された.男女ともに身体的・精神的疲労感には健康意識,暮らし向き,運動習慣,腰痛や肩痛が関連していた.

考察:60歳代地域住民の自覚的疲労感と家庭内役割との関連は性別で異なることから,性差を考慮した理解が必要であることが示唆された.

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© 2021 一般社団法人 日本地域看護学会
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