目的:統括保健師が配置されていない小規模町村の部署横断的な保健活動における保健師の活動内容を明らかにし,住民のニーズを充足する部署横断的な保健活動を推進するための小規模町村保健師の活動の方法を検討する.
方法:小規模町村のうち統括保健師を配置していない町村に従事している保健師4人におのおの過去3年以内の部署横断的な保健活動を1事例ずつ半構造化面接により聴取し,質的記述的に分析した.
結果:保健師の活動内容は4事例から42の活動内容のコードが抽出され,26のサブカテゴリー,15のカテゴリー,4のコアカテゴリーに分類された.コアカテゴリーは【他職種とおのおのが重視することをすり合わせるための活動】【関係性を保ちながら他者の協力を得て必要な役割を担ってもらうための活動】【統括保健師という役割や職位がないなかで活動するためにコミュニケーションの方法や機会を駆使した活動】【統括保健師が配置されていないなかで部署横断的な活動を実現するために上司や主管部署にリーダーシップを発揮してもらう活動】であった.
考察:小規模町村では,統括保健師という部署横断的な活動を調整する者がおらず課題があるなか,統括保健師の役割や職位のない保健師が,協働部署と所属部署に対して,段階的な調整や上司や実働する職員に説明する順番やタイミングを見計らう等の戦略的な活動を行うことにより部署横断的な保健活動を推進していく必要がある.