目的:本研究は,医療・保健分野における災害に関するコミュニティ・レジリエンスの定義と構成概念を明らかにすることを目的とした.
方法:Rogersの概念分析法を用いた.対象文献はPubMedに加え,医中誌Webを用い,検索された88文献から無作為に抽出した33文献とした.分析は属性,先行要件,帰結の視点で質的に行った.
結果:属性は【コミュニティの災害後に再び安定した状態になる能力】【災害に対しコミュニティメンバーが共に行う行動】【コミュニティの災害後に安定していくプロセス】の3つのカテゴリー,先行要件は【コミュニティの安定】【災害に備える住民の存在】【人々のつながりの存在】【住民の災害に関連した課題の共有】【有能なリーダーの存在】の5つのカテゴリー,帰結は【住民の健康】【コミュニティの発展】【人々のつながりの向上】の3つのカテゴリーが抽出された.
考察:医療・保健の分野における災害に関するコミュニティ・レジリエンスは「コミュニティの災害後に再び安定した状態になる能力であり,それを基にした災害に対しコミュニティ・メンバーが共に行う行動であり,さらに,それらを活用しコミュニティの災害後に安定していくプロセスである」と定義された.この概念を用いる際には,能力,行動,プロセスの3つの属性を混合して用いるのではなく,区別して用いる必要がある.