目的:全治療期間を地域DOTS(直接監視下短期化学療法)により経過した在宅高齢結核患者の服薬開始期,服薬維持期,服薬終了期における服薬アドヒアランスの維持・促進に影響する要因を明らかにする.
方法:65歳以上の全治療期間を地域DOTSにより経過した10人に対して半構造化面接を実施した.データは服薬経過時期ごとにBerelson Bの内容分析を参考にし,質的記述的に分析した.
結果:服薬経過時期別の要因は,服薬開始期では,【早期治癒に向けて服薬に取り組む決意】【自分に合った服薬・管理に役立つ工夫】【医師,看護職者等との関わりを通した関係性の構築】等,服薬維持期では,【服薬経験を通した服薬継続への意義の実感】【医師,看護職者により提供される服薬継続を促進する肯定的評価と調整】等,服薬終了期では,【服薬の完遂目前により後押しされる確固たる服薬への決意】【医師,看護職者等から提供される服薬完遂に向け共に進む姿勢を示す支援】であった.
考察:今後の在宅高齢結核患者の支援においては,各服薬経過時期別の要因の特徴に応じて,信頼関係の構築,服薬効果に対する説明や評価のフィードバック,最後まで共に歩む姿勢等を通して服薬アドヒアランスが維持・促進できるようにする必要がある.