目的:介護老人福祉施設における高齢者の看取りについて,看取りのPDCAサイクルを用いて看護職の役割を明らかにする.
方法:看取り介護を導入している介護老人福祉施設に所属する看護職12人に半構造化面接を行い,データを質的帰納的に分析した.
結果:介護老人福祉施設において高齢者を看取るための看護職の役割として,【高齢者と家族が安心して施設で最期を迎えるための仕組みづくり】【職員が安心して看取りを実施するための教育的支援】【看取りにおいて医療的に必要となるケア計画の立案】【看取りにおいて適切な医療を提供するための臨床判断】【高齢者にとって苦痛のない看取りを実施するための多職種間の調整と情報共有】【看護職の不在時に看取りを行う介護職への支援】【家族の思いや意向に沿った支援】【高齢者への看取りに関する振り返りの実施】【看取りを経験した家族や介護職への配慮】の9カテゴリーと30サブカテゴリーが抽出された.
考察:施設での看取りにおける看護職の役割についてPDCAサイクルを用いて検討した結果,看護職は体制の整備〔Plan〕・看取り介護〔Do〕・振り返り〔Check〕において医療的側面から関わり,さまざまな役割を有していることが示された.しかし,体制の改善〔Action〕に関するカテゴリーは生成されなかったことから,看護職が医療的ケアの実施状況等の評価を行い,課題を明確化するといった役割を担うことによって,看取り介護の体制の改善につなげる必要があると考える.