目的:精神疾患を有する母親への虐待予防に向け,保健師の多職種連携能力の実態と関連要因を明らかにし,現任教育や職場環境整備への示唆を得ることである.
方法:A県内全自治体の母子保健または精神保健福祉分野に所属する保健師380人を対象に無記名自記式アンケート調査を実施した.調査項目は,妊娠期からの虐待予防のための多職種連携能力評価尺度(以下,多職種連携能力評価尺度),基本属性,個人要因(支援上のコミュニケーションスキルへの自信等),職場環境要因(個別ケースの検討への参加等)である.多職種連携能力評価尺度得点を従属変数とした重回帰分析を実施した.
結果:110人を分析対象とした(有効回答率28.9%).保健師の多職種連携能力の高さには,支援上のコミュニケーションスキルへの自信(β=0.275,p=0.008)が有意に関連し,児童虐待に関する研修参加意欲(β=0.163,p=0.059),精神疾患を有する母親の育児に関わる近所づき合いや地域のつながりを把握できる自信(β=0.170,p=0.096),個別ケース検討への参加(β=0.172,p=0.093)に関連の傾向があった.
考察:保健師の多職種連携能力の向上に向けて,保健師が母親とのコミュニケーションスキルへの自信がもてるような研修や事例検討会の開催,研修参加意欲が高まる研修企画や周知方法の工夫が重要と考える.