日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
地域における高齢者の転倒予防を目指した音楽運動プログラム実施後の変化(地域看護活動報告)
清水 暢子細谷 たき子別所 遊子長谷川 美香
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 8 巻 1 号 p. 65-72

詳細
抄録

目的:地域における高齢者の転倒予防を目指した音楽運動プログラムを作成し,介入前後の身体機能,転倒予防自己効力感,転倒経験,運動自信感等を検討した.さらに,介入前後の身体機能の変化,転倒予防自己効力感の変化,転倒経験の変化の3変数の関連を検討することを目的とした.方法:F県M町在住の高齢男女45名(75.6±7.4歳)を対象に,3カ月間,鳴子を使った体操等約60分間の音楽運動プログラムを実施し,身体機能8項目,転倒経験,運動習慣,外出頻度,転倒予防自己効力感,運動自信感,運動意欲を介入前後で調査した.結果:身体機能5項目で,介入後の値に有意な向上がみられ,転倒経験回数の減少,転倒予防自己効力感,運動自信感に有意な改善がみられた.身体機能の変化は,転倒予防自己効力感の「服の脱着」「布団からの起床」の2項目の変化と正の相関関係がみられ,さらに,転倒予防自己効力感の「薄暗い場所を歩く」「両手に荷物を持って歩く」「簡単な掃除や片付け」「簡単な買い物をする」の4項目の自信向上と転倒経験回数の減少と関連していた.結論:本音楽運動プログラムは,身体機能の維持・向上と転倒予防自己効力感,運動自信感の向上,転倒経験回数の減少に貢献することが示唆され,また,転倒経験回数の減少には,歩行や移動行動を起こす自信がつくまでの支援が必要であることも示唆された.

著者関連情報
© 2005 一般社団法人 日本地域看護学会
前の記事 次の記事
feedback
Top