日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
地域の文化に根ざした保健師活動の展開方法
丸谷 美紀
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 8 巻 1 号 p. 73-80

詳細
抄録

目的:保健師が日常の活動の中で地域の風土・気質・生活習慣等の文化的背景を捉えて活動へ組み込む様相を調査し,地域の文化に根ざした保健師活動の展開方法を明らかにする.方法:地域の文化に根ざした活動を行っている保健師3名に,聞き取り調査および援助場面への参加観察を行った.保健師の援助行為,援助行為に伴う保健師の認識,援助対象者の援助に対する言動を調査し,地域の文化的背景の捉え方,それらの内容,それらの活動への組み込み方,援助対象者の反応および変化,を抽出しカテゴリーとして分類・整理する.各カテゴリーに即して,地域の文化的背景を捉えて活動へ展開する様相を読み取り,パターンとして分類・整理する.結果:地域の文化的背景の捉え方は〈蓄積してきた情報の想起と確認〉など6つに,それらの内容は〈地場産業に密着した生活〉など6つに,活動への組み込み方は〈地場産業が継続できる健康管理の検討〉など6つに,援助対象者の反応および変化は〈新たな生活習慣の定着〉など5つに整理された.地域の文化的背景を捉えて活動へ展開する様相は【地場産業に密着した生活を想起して確認し,地場産業が継続できる健康管理を検討し,その結果,健康に対する認識が改善・強化する】等の11パターンに整理された.考察:地域の文化に根ざした保健師活動は次のように展開されることが明らかになった.活動や自己の生活を通じて,住民の健康に与える影響と問題の対処に活用するという2側面から,地域診断に必要な項目を組み合わせて,地域の文化的背景を捉える.それらを,住民に受け入れやすい方法の検討,地域の長所を活かすという形で活動に組み込む.

著者関連情報
© 2005 一般社団法人 日本地域看護学会
前の記事 次の記事
feedback
Top