日本学級経営学会誌
Online ISSN : 2434-7760
学級経営案の在り方を検討するための歴史的考察
向山洋一と村山俊太郎の学級経営案を通して
佐内 信之
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2019 年 1 巻 p. 17-20

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抄録

村山俊太郎の「尋六の学級経営」は1938(昭和13)年に作成された。ちょうど40年後の1978(昭和53)年,向山洋一の「六年一組学級経営案」が登場した。さらに40年が過ぎて,そろそろ両者の「改訂版」が出ても良い時期だと思われる。そのためには,村山と向山の学級経営案から引き継ぐべきものは何か,具体的な検討が必要である。
今回の研究では,村山の「学級の生活標語」と向山の「級訓」を手がかりに,学級目標における「個」と「集団」の関係について考察した。特に,強い「個」が成長するための「集団」を組織しようとする点に両者の共通点が見られる。そのため,学級経営案の全体構成も,「個」の実態を分析するとともに,「集団」の環境を調整する方法が示されている点に特徴がある。
今後の課題としては,「個」の実態,あるいは「集団」の環境の検討が求められる。具体的には,両者の学級経営案に出てくる「自治組織」「教室文化」などのキーワードを手がかりに,村山と向山の膨大な文献を一つ一つ,丁寧に読み解く作業が必要になるだろう。

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