日本学級経営学会誌
Online ISSN : 2434-7760
児童のペア活動に関する事例的研究
「ホワイトボード・ミーティング(R)質問の技カード」を用いた実践の分析
前田 考司阿部 隆幸
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2020 年 2 巻 p. 17-26

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抄録
本研究は,ホワイトボード・ミーティング(R)1)における「ホワイトボード・ミーティング(R)質問の技カード2)(以下,「質問の技カード」)」が活用されていく過程での児童の変容を分析する。ホワイトボード・ミーティング(R)のアクティビティの一つのペア・コミュニケーション3)において,「質問の技カード」の技術が習得されていくことによる学級集団や児童の変容を分析することを目的とし,質問紙による調査,聞き手の発話量と割合の比較,発話内容の変容を事例的に分析した。その結果,「質問の技カード」を用いたペア・コミュニケーションの積み重ねによって,児童が学級内の人間関係を乱すことなく,より多くの人と関わろうとするきっかけを生み出していることが示唆された。また,「質問の技カード」を用いたペア・コミュニケーションの継続が,ペアの活動における聞き手と話し手の発話において,話し手の発話の割合を増加させることが分かった。そして,「質問の技カード」の言葉がお互いに身につき,相互作用として機能していくことにより,聞き手のあいづちで話し手の話を受け止め,「質問の技カード」に記載されたオープン・クエスチョン4)によって思考を深めていくことを促す役割が示された。
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© 2020 日本学級経営学会
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