抄録
文学の〈読みの交流〉を通して,学級への適応感が高まった事例を取り上げ,対象児の役割アイデンティティ(role-identity)の形成過程におけるレリバント(relevant)の変化に着目して〈読みの交流〉の発話プロトコルを分析した。その結果,教師の対話フィードバックが要因となり,「他者との相互作用を自ら拒否している人」から「他者の考えを理解しようする人」を経て「他者の問い返しにより,テクストの対比構造に気づきはじめる人」へとレリバントを変化させ,「他者によって自己実現する者」としての役割アイデンティティを形成していることがわかった。