抄録
本研究では,担任の学級経営や学級開きに対する考え方や信念をインタビューから明らかにし,その担任が学級開きにおいてどのような語りをするのかについて質的に明らかにすることを目的とした。インタビューの分析から,対象者は多様な人と関わりをもつことや,学級経営では自分らしさを発揮しながらも安心して過ごせるような場にしたいと考えていることがわかった。さらに学級開きについては,横糸づくりを意識し良い点を伝えたり,伸びやかな雰囲気を作り出したりすることに重点を置くこと,どの学年においても多様性を尊重し,安心して過ごせる場であってほしいということを伝えることが明らかとなった。
学級開きの語りの分析から,信頼感の構築と安心感の形成を土台としながら,生活スキルや教室マナー,コミュニケーションといった児童が適切な行動を取れるようなスキルを身につけていくことが学級開きの中核を成し,その上で学習プロセスを児童と共有して学習意欲を高めることのできるような学習指導を行っていること,適宜必要なフィードバックをしていることが明らかとなった。