抄録
本研究は,若手教諭が授業における学校図書館の活用をどのように捉え,どのように子供たちと関わりながら実践しているのかを明らかにすることを目的として質問紙調査を行った。その結果,若手教諭の学校図書館を活用した授業における捉え方及び子供への関わり方について,次の3点が明らかとなった。(1)学校図書館の活用を,教科書の代わりとなる資料を準備することと捉えている傾向がある。(2)子供が自らの興味関心に基づいて資料を収集するのではなく,教諭が図書資料を準備して子供たちに個別に提供している。(3)グループ学習を作業の効率化を図るための手段と捉える傾向がみられ,子供同士の対話や学級全体への学びの広がりにつなげるための手立てが不足している。以上のことから若手教諭に対して学校図書館の活用における指導方法の改善を行う必要があることが推察された。これらの改善のためには,学校図書館の活用において児童生徒への図書資料の提供等に関する専門性のある学校司書や,学校図書館を活用した授業経験の豊富な司書教諭との連携を踏まえた研修を行う必要性が示唆された。