学級経営心理学研究
Online ISSN : 2434-9062
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選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 森永 秀典, 河村 茂雄, 武蔵 由佳
    2024 年13 巻1 号 p. 1-10
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/10/20
    ジャーナル フリー
    本研究では,目指す学校組織像を,教師の自主的・自律的な側面と協働的に教育活動に取り組む側面の二側面が高まっている状態と捉え,学年チームマネジメントと学年チーム効力感との関連を検討した。その結果,教師の自主的・自律的な側面が,学年チームマネジメントと正の関連があることが明らかとなった。また,教師の協働的に教育活動に取り組む側面が,学年チームマネジメント,学年チーム効力感と正の関連があることが明らかとなった。また,各教師の学校組織への所属意識を4群に分けて検討したところ,自律的協働群は,学年チームマネジメントと学年チーム効力感が高く,孤立群は,両側面を低く認知していた。やらされ傾向群は,学年チームマネジメントが低く,個人的実践群は,学年チーム効力感を低く認知していた。以上の結果を踏まえて,各群の教師に対する具体的な手立てについて検討を行った。
  • 井口 武俊, 河村 茂雄
    2024 年13 巻1 号 p. 11-18
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/10/20
    ジャーナル フリー
    本研究は,児童期の内的適応と外的適応の両側面から,学級における児童の適応状態を評価するための尺度(以下,内的外的適応尺度)を作成し,信頼性・妥当性を検討することを目的とした。児童の内的外的適応尺度の作成にあたって,表面的には適応的であっても内面的に不適応に陥っている過剰適応に焦点を当て,①学級集団における過剰な外的適応の維持・緩和に関連する要因②不安を軽減しながら,内的適応を高める要因の2点を考慮して探索的に尺度を作成することにした。その結果,内的外的適応尺度の因子分析から,他者の感情の変化や他者の視点・役割を理解しようとする「察知力」,学級内の友人と表面的に同一でありたい心理や同一な行動に安心する「同調性」,自分らしさや自分自身の認知についての「本来感」の3因子構造であることが確認され,α係数の算出により,信頼性が確認された。また,児童期の内的外的適応尺度の基準関連妥当性を検討するため,過剰適応尺度(小学生版)の下位尺度との関連を検討した結果,基準関連妥当性が確認された。
  • ―若手教諭への意識調査を中心として―
    富永 香羊子, 河村 茂雄
    2024 年13 巻1 号 p. 19-34
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/10/20
    ジャーナル フリー
    本研究は,若手教諭が授業における学校図書館の活用をどのように捉え,どのように子供たちと関わりながら実践しているのかを明らかにすることを目的として質問紙調査を行った。その結果,若手教諭の学校図書館を活用した授業における捉え方及び子供への関わり方について,次の3点が明らかとなった。(1)学校図書館の活用を,教科書の代わりとなる資料を準備することと捉えている傾向がある。(2)子供が自らの興味関心に基づいて資料を収集するのではなく,教諭が図書資料を準備して子供たちに個別に提供している。(3)グループ学習を作業の効率化を図るための手段と捉える傾向がみられ,子供同士の対話や学級全体への学びの広がりにつなげるための手立てが不足している。以上のことから若手教諭に対して学校図書館の活用における指導方法の改善を行う必要があることが推察された。これらの改善のためには,学校図書館の活用において児童生徒への図書資料の提供等に関する専門性のある学校司書や,学校図書館を活用した授業経験の豊富な司書教諭との連携を踏まえた研修を行う必要性が示唆された。
  • ―ソーシャルスキルに対する動機づけの視点から―
    森 俊博, 河村 茂雄
    2024 年13 巻1 号 p. 35-48
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/10/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的はソーシャルスキルやソーシャルスキルに対する動機づけとの関連の検討を通して,学級生活満足度に応じたソーシャルスキルに関する援助の方向性を明らかにすることである。分析の結果,学級生活満足群は,ソーシャルスキルとソーシャルスキルに対する自律的動機づけの得点が高く,ソーシャルスキルに対する統制的動機づけの得点は低かった。侵害行為認知群は,ソーシャルスキルと動機づけ全般の得点が高かった。非承認群は,ソーシャルスキルと自律的な動機づけの得点が低かった。学級生活不満足群は,ソーシャルスキルとソーシャルスキルに対する自律的な動機づけの得点が低く,ソーシャルスキルに対する統制的な動機づけの得点が高かった。これらの結果から,ソーシャルスキルやその動機づけの特徴を踏まえた学級生活満足度に応じたソーシャルスキルの予防的・開発的な援助が必要と考えられる。
  • 藤原 寿幸, 河村 明和, 河村 茂雄
    2024 年13 巻1 号 p. 49-58
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/10/20
    ジャーナル フリー
    本研究は,先行研究(藤原,2019)を参考にした「学級目標を基盤とした自己調整サイクルによる学級づくり」の実践が,児童のGritにどのような影響を及ぼすかについて検討することが目的であった。実践の前後,Time1(6月)とTime2(12月)に実施したGrit得点について対応のあるt検定を行った結果,12月時点の平均値は6月時点の平均値から5%水準で有意な向上がみられた。要因として,本実践において自己調整学習の循環的段階モデル(Zimmerman,2008)の効果が発揮されたこと,さらにそれが,児童らが学級目標を習得目標として認識することを促進した可能性があることなどが挙げられた。
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