抄録
本事例は,スクールカウンセラーである報告者が,高等学校新入生180名に対し,入学時のリレーション形成を目的に援助を行った事例である。生徒の適応感を高める技法として構成的グループエンカウンターを活用した。報告者はアセスメントを行い,集団の状態と目的にそったエクササイズの選定と構成を第二著者と共に行った。その結果,新入生の集団活動における緊張感は緩和され,リレーション形成が促進された結果が示された。このことから,入学時における構成的グループエンカウンターの活用は,新入生の不適応の予防として効果的であると考える。また,スクールカウンセラーの専門性は,構成的グループエンカウンターの展開を考える上で効果を示した。スクールカウンセラーは心理教育的援助サービスの専門家としてグループ・アプローチなどの集団に対応できる力も身につけておくことで,学校の幅広い援助ニーズに対応することができると考える。