2009 年 13 巻 1 号 p. 57-63
歴史的に各学部や部局の自治を基本とする運営がなされてきた国立大学においては,IT活用の面でも各部局が個別に情報システムを開発導入してきた.そのため,各情報システム間でデータコード体系の不統一が見られ,学内で稼働する複数の情報システムの全学的統合の障害となっている.同じデータ項目に対して情報システム毎に異なるデータコードが付番されている例も多く,複数の情報システム間でデータを交換する際にも大きな障害になっている.学内のデータコードを一覧できる資料がない事,全学的に統一的に管理する部署がないことが大きな要因と考えられる.そこで,全学に散らばるデータコードを1つのデータベース上に記録し,1つのデータ項目に対する複数のデータコードを一覧できる仕組みを開発した.この仕組みは,学内教職員の誰もが学内ネットワークを通じてWebブラウザを介して参照することを可能としており,データコードの全学的な標準化や統一の基礎となる.また,全学的にデータコードを統一的に管理する組織を設置することにより,前述のような,データコード体系の不統一が標準化に向かうことが期待できる.本稿では,全学から参照できるWebベースのデジタルデータコードブックを紹介し,その効果について述べる.さらにデータコードを一元的に管理する学内組織の設置を提案する.