抄録
公認心理師による心理支援や研究活動の推進への示唆を得ることを目的に,日本公認心理師協会に所属する5分野の専門別委員会の委員8名を対象にインタビュー調査を実施した。具体的には,公認心理師の活動として十分な理解が得られていないと考えられる活動とその理由や背景,公認心理師の有用性を示すための研究に関する課題,職域拡大や増員に関する課題等について半構造化面接を実施し,得られた語りを検討した。その結果,要支援者以外の方への活動も含めた多岐にわたる業務の全体像がそもそも知られていないこと,身分の不安定さに起因する活動の制約が公認心理師の有用性を示す上での隘路となっていること,情報発信の不足や偏り,特定のアプローチに依拠しない日々の心理支援の効果に関する基礎データの不足,心理支援の効果に関する指標設定の困難さといった課題が抽出された。研究活動の推進のためには,業務統計に類する基礎データの全国的・系統的な集積の必要性,研究手法の多様化,現場の公認心理師が研究に着手しやすい体制整備等が指摘されていた。得られた結果をもとに,公認心理師による研究活動を推進するための具体的な提言を行った。