抄録
地域固有の歴史文化をまもり,活かすことは,今日では都市づくりの基本的要件として浸透し,関連制度も充実してきた.しかし,昨今の政策や都市整備の実態からは,歴史文化は都市づくり行政の中で安定した位置づけにあるとは言い難く,また歴史文化と関わる政策分野も広がっている.そこで,社会経済状況や都市課題が変化していく中での歴史文化の社会的,政策的位置づけのあり方について示唆を得るため,横浜,名古屋,京都,大阪,神戸を事例とし,①市町村総合計画における歴史文化の記述の変遷を明らかにし,②その記述の特徴を整理・分析・考察し,③上位の総合的な計画・政策に歴史文化をいかに位置づけるべきかを考察した.その結果,総合計画における歴史文化の位置づけ方の種類と多様化の流れが明らかになるとともに,歴史文化に関する政策・施策の内容にはソフト施策,ハード整備,都市構造・土地利用の提示といった異なるタイプが見出された.