抄録
高immunoglobulin E (IgE) 症候群を背景としたmethicillin-resistant staphylococcus aureus (MRSA) 肺化膿症に対し肺切除術を施行した一例を経験したので報告する. 症例は21歳, 男性. 2歳時に高IgE症候群と診断された. 2003年5月頃より発熱, 咳嗽が出現し肺炎と診断され近医にて治療を受けていたが次第に増悪したため精査加療目的にて入院となった. 入院時血液検査でWBC 10100/mm3, CRP9.7mg/dlと炎症所見を認め血清IgE値は21736IU/mlと上昇していた. 胸部X線検査にて右上葉に浸潤影を認め喀痰よりMRSAが検出された. 抗生剤投与を行うが右下葉にも感染巣を認めたため右上葉切除術及び右下葉区域切除術 (S6, S9+10) を施行した. 術後28日目に退院した. 高IgE症候群における呼吸器感染は抗生剤治療が優先されるが炎症所見が鎮静化しても肺実質が荒廃した器質的変化を認める場合は感染源となり病巣が拡大する可能性があるため外科的切除が必要であると思われた.