抄録
症例は47歳, 男性. 30歳時に筋強直性ジストロフィーと診断された. 経過観察中の胸部X線写真で右縦隔異常影を指摘され, また軽度の呼吸困難と顔面浮腫も同時期に出現し, 当科紹介となった. 胸部CT, MRI検査で右上縦隔に嚢胞性の腫瘤を認め, 画像上, 良性腫瘍の可能性が高いと考えられた. 悪性所見の有無の確認と治療を兼ね, CTガイド下に穿刺・排液を行ったところ, 症状・所見ともに一時的に改善し, 細胞診では悪性所見を認めなかった. しかし, 症状・所見ともに数日で再燃した. 良性疾患の可能性が高いことと患者の希望を考慮し, 外科治療を行わない方針とし, CTガイド下に嚢胞内エタノール注入療法を行った. 治療後約4週間で腫瘤は縮小し, 画像上も確認できなくなり, 再燃を認めなかった. 良性の可能性が高い縦隔嚢胞の治療法として, 嚢胞内エタノール注入療法は有用であると考えられた.