日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺化膿症と肺梗塞のために診断確定に苦慮した原発巣不明肺門・縦隔リンパ節癌の1例
桝屋 大輝後藤 正司中島 尊岡本 卓劉 大革石川 真也山本 恭通黄 政龍横見瀬 裕保
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2005 年 19 巻 6 号 p. 749-753

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抄録
症例は61歳, 女性. 胸部CTで, 左肺S6に空洞を伴う腫瘤陰影と左肺S10に腫瘤陰影を認め, 肺門リンパ節の腫大も指摘された. PET検査で左下葉及び肺門と縦隔にFDG (fluorodeoxyglucose) の集積を認めた. CEAも高値で, 左下葉の原発性肺癌を疑いTBLBを施行するも悪性所見は認められなかった. 左肺S10の腫瘤陰影に対しCT下肺生検を施行したが確定診断には至らなかった. 消化管内視鏡検査を含む全身精査では他臓器に異常は認めなかった. 診断確定のために開胸肺生検を行い, 左肺S10の腫瘤は術中迅速病理で梗塞巣と診断された. 大動脈下リンパ節と気管分岐部リンパ節をサンプリングしたが, それぞれ低分化癌, 及び中分化腺癌と診断された. 肺門・縦隔リンパ節癌と考え, 術後同時放射線化学療法を施行した. 本症例は肺化膿症と肺梗塞のため画像所見からは左下葉原発の肺癌との鑑別が困難であり, 開胸生検で肺門・縦隔リンパ節癌と診断された.
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