日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
化学療法後の右肺管状全摘術後縫合不全に対して再吻合大網被覆術を行い治癒した1例
棚橋 雅幸山田 健中島 義明森山 悟彦坂 雄丹羽 宏
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2006 年 20 巻 7 号 p. 938-944

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抄録
症例は57歳男性.初診2ヵ月前から咳嗽,血痰が出現し,右原発性肺癌(腺癌),縦隔リンパ節転移,リンパ節の上大静脈・気管分岐部浸潤(cT4N2M0 stageIIIB)と診断された.術前化学療法後に右肺管状全摘,上大静脈合併切除術を施行したが,術後8日目に吻合部縫合不全を合併した.術後10日目に再吻合有茎大網被覆術を行ったものの,再度縫合不全をきたしたが自然治癒した.大網の抗炎症作用,血管新生作用によると思われた.化学療法後の他臓器合併切除を伴う管状全摘術は縫合不全のリスクが高く,一期的に大網被覆術を選択したほうがよいと思われた.
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© 2006 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
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