抄録
症例は67歳の男性.1995年10月,右胸水貯留を伴う胸膜腫瘍の診断のもと腫瘍摘出術を施行,術後病理診断にて胸膜孤立性繊維性腫瘍solitary fibrous tumor of the pleura(以下SFT)の診断となった.2003年6月の胸部CTで右房・右室沿いに2つの腫瘤性病変を認め,いずれも短期間で増大した.SFT再発の疑いにて2004年8月再手術を施行,一部心膜を合併切除するかたちで腫瘍を摘出した.術後病理診断でいずれの腫瘍もSFTの診断となった.再発病変に関し組織学的に明らかな悪性化の所見はなく,再発形式は断端再発と考えられた.SFT再発例の文献報告例では組織学的に良性と判断された症例においても複数回の再発例があり,今後も厳重な経過観察が必要と考えられる.