日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
下行性壊死性縦隔炎を発症し頚部アプローチから救命しえた一症例
林 亨治
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2007 年 21 巻 1 号 p. 52-56

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抄録
症例は62歳,男性,魚を食べた後より咽頭の違和感を覚え,20日後より嚥下痛,さらに2日後より呼吸困難が出現したため,当院救急外来を受診した.嗄声,吸気延長,頻呼吸を認めることより,急性喉頭蓋炎による上気道狭窄を疑いボスミン吸入を行った.しかし呼吸困難が増悪したため輪状甲状間膜切開後,緊急気管切開を行った.抗生剤等の治療により一旦は軽快したが,入院12日目に炎症反応の増悪を認め,CTで下行性壊死性縦隔炎と診断した.気管分岐部より上方に膿瘍が限局していたため,同日頚部アプローチによる縦隔膿瘍ドレナージを行った.術後経過は良好で術後30日目に軽快退院となった.気管分岐部より上方に限局した縦隔炎では頚部からの縦隔膿瘍ドレナージによる治療を選択肢の一つにすべきである.また頚部の炎症は常に下行性壊死性縦隔炎へ移行する可能性を考え,早期発見に努めることが重要である.
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