日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺膿瘍破裂による膿気胸に対して胸腔鏡下手術を行った1例
蜂須賀 康己魚本 昌志
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2007 年 21 巻 1 号 p. 64-69

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抄録
肺膿瘍破裂にて膿気胸を生じ,胸腔鏡下手術を施行した,まれな症例を経験したので報告する.症例は63歳の男性.肝硬変と糖尿病の既往歴があり,血糖コントロール目的で当院へ入院した.入院後,咳と発熱を認め,CTにて左肺下葉の肺膿瘍と診断され,抗生剤が投与された.入院から10日後,突然呼吸困難をきたし,CTにて左下葉の膿瘍破裂による膿気胸と診断した.治療として胸腔鏡下膿胸腔掻爬および膿瘍腔ドレナージ術を施行し,さらに術後3週目に難治性気管支瘻に対し,気管支鏡下に気管支充填術を施行した.膿胸と肺膿瘍は著明な改善を認めたが,肝障害が進行し,肝不全に至り,術後48日目に死亡した.肺膿瘍破裂はまれな病態であるが,自験例のように,重篤な合併症を有する症例に起こりうることを留意して,早期に低侵襲な手術を施行するべきと思われた.
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