抄録
外傷や明らかな基礎疾患なしに自然気胸発生時に血胸を合併する自然血気胸は比較的稀な疾患であるが,若年者に多く,しばしば多量の胸腔内出血を伴い,緊急手術の適応となる.我々は10年間に8例の自然血気胸を経験しその内6例に対し胸腔鏡下の手術を行った.いずれの症例もドレナージ後排液が1000ml以上排出されるか,胸腔内に多量の血腫が予想される症例であった.胸腔鏡下に観察し得た自験例6例すべてにおいて肺尖部にブラが観察され,4例においてはこのブラ付近に交通する索状物破綻による出血を認めた.自然血気胸の診断をした場合には,しばしば多量の出血を来たすことからすみやかな手術を考慮すべきであり,胸腔鏡下での止血,血腫除去,ブラ切除術が可能である.