日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
胸膜肺全摘術後7年目に皮下転移をきたした悪性胸膜中皮腫の1例
江口 隆久米田 茂喜
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2007 年 21 巻 5 号 p. 655-658

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抄録

胸膜肺全摘術後7年目に局所皮下転移をきたした悪性胸膜中皮腫の1例を経験した.症例は52歳,女性.アスベスト曝露歴はない.1998年(45歳時)に検診にて胸水貯留を指摘された.胸水細胞診にて悪性胸膜中皮腫と診断し,右胸膜肺全摘術を施行した.病理診断はmalignant mesothelioma,epithelial typeで,IMIGのTNM分類ではT1bN0M0:stage Ibであった.術後は外来にて定期的に経過観察を行い,再発徴候を認めていなかった.2005年7月ごろより右前胸部に皮下腫瘤を自覚し,8月局所麻酔下に皮下腫瘤切除術を施行した.組織学的に上皮様の異型細胞が充実性に増殖しており,免疫染色ではHBME-1陽性,カルレチニン陽性,EMA弱陽性,CEA陰性,サイトケラチン陽性で前回手術標本と同様の所見であり,悪性中皮腫の皮下転移再発と診断した.術後にFDG-PETを行ったが,再発を疑う異常集積は認めなかった.術後7ヵ月経過したが,再発なく外来にて経過観察中である.

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