日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
CTガイド下経皮的肺針生検による空気塞栓に対して高圧酸素療法が奏効した1例
中野 哲宏清水 公裕大谷 嘉己懸川 誠一森下 靖雄竹吉 泉
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2007 年 21 巻 6 号 p. 859-864

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抄録

症例は69歳,女性.検診の胸部単純X線写真で右上肺野に異常陰影を指摘された.胸部CTで,右肺上葉S3に径1cm大の小結節を認め,CTガイド下経皮的肺針生検を施行した.穿刺直後に意識消失,ショックに陥った.蘇生処置後のCTで中大脳動脈領域に空気泡が複数見られた.空気塞栓症の診断で,高圧酸素治療を開始したところ,脳血管内の気泡は著明に減少し,意識レベルも改善した.以後連日6日間の高圧酸素治療で,当初認められた左半身の麻痺は徐々に改善し,発症後7日目の時点で左手指に軽度の運動障害を残すのみとなった.CTガイド下経皮的肺生検による合併症の中では,空気塞栓症の頻度は極めて低いが,重篤であり,速やかな診断と適切な治療を要する.

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