日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
術前ProGRP値が高値を示した定型的肺カルチノイドの1切除例
内田 尚孝吹野 俊介児玉 渉
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2008 年 22 巻 5 号 p. 839-843

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抄録

73歳男性.検診の際,左上肺野に異常陰影を指摘された.CTにてS1+2に直径35mm大で辺縁不整の腫瘤性病変を認め,擦過細胞診で肺腺癌疑いとの診断が得られた.術前ProGRPは,80.4pg/mlと高値を示していた.手術は,胸腔鏡下左肺上葉切除術を施行した.病理組織所見では,小さな円形の細胞が,柵状配列,ロゼット形成を示していた.また,組織のChromogranin染色は陽性を示した.上記所見より,定型的肺カルチノイド,p-T2N0M0,p1d0e0pm0,p-Stage IBとの診断となった.術後経過は良好で,ProGRP値も正常化した.定型的肺カルチノイドでは術前の血中ProGRP値が高値を示すことは少ないため,若干の文献的考察を加えて報告した.

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