日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
縦隔副甲状腺嚢胞の1例
伊藤 祥隆田中 伸佳海崎 泰治
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2009 年 23 巻 2 号 p. 143-148

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抄録

症例は57歳,女性.主訴は胸部異常陰影.検診にて気管の右方偏位を指摘され当院を受診した.初診時までに呼吸器症状の自覚はなかった.胸部CT検査では甲状腺,気管,食道,大動脈に囲まれた上縦隔に径8.8×6.4cmの嚢胞性病変を認めた.MRI検査ではT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号であった.以上より縦隔嚢胞性腫瘤と診断し手術を行った.胸骨正中切開にて腫瘤を摘出したが周囲臓器と特別な関連を有する所見は得られず,原発部位は不明であった.切除標本では薄い壁を持つ嚢胞状組織で,壁内には副甲状腺組織が島状に散在し,壁内腔はこの組織と類似した一層の立方円柱上皮に覆われていた.本例では明らかな副甲状腺機能亢進症が認められなかったため,非機能性縦隔副甲状腺嚢胞と診断した.

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