抄録
症例1は54歳,男性で主訴は呼吸困難.喫煙歴20本/日×20年.巨大気腫性肺嚢胞等で当院内科通院中,右自然気胸を指摘された.胸腔ドレナージを施行するも,気瘻が遷延したため,胸腔鏡下右巨大肺嚢胞切除術を施行した.症例2は23歳,男性で主訴は乾性咳嗽.喫煙歴20本/日×5年.右自然気胸を指摘され保存的に軽快したが,約1ヵ月後に再発を来した.CTでは明らかな肺嚢胞を指摘できなかったが,診断と治療を兼ねて手術を行った.肺尖部に微小な嚢胞を認め,それに対して胸腔鏡下右肺嚢胞切除術を施行した.2症例とも術後病理組織検査で肺好酸球性肉芽腫症の診断を得た.術後は禁煙を徹底し,本疾患の増悪や気胸の再発はなく経過している.自然気胸手術においては本疾患の可能性を考慮して,喫煙歴などの詳細な病歴聴取や切除標本の十分な病理組織学的検討が重要であると考えられた.