抄録
症例は70歳男性.亜急性に進行する歩行困難のため近医を受診し,胸部X線(単純)写真にて右肺門側の腫瘤影を指摘され,精査加療目的で当院を紹介された.注視眼振,下肢・体幹失調を認め,腫瘍随伴性小脳変性症(Paraneoplastic cerebellar degeneration)を合併したcT3N2M0(Stage III A)の非小細胞癌と診断した.神経症状の改善目的で右上葉切除,胸腺・心嚢合併切除を行ったところ神経症状は著明に改善した.腫瘍随伴性小脳変性症は治療抵抗性とされているが,本例は手術により著明な症状の改善を認めたので報告する.