日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺分画症を合併したScimitar症候群の一手術例
橋本 昌樹多久和 輝尚奥村 好邦近藤 展行田中 文啓長谷川 誠紀
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キーワード: Scimitar症候群, 肺分画症
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2010 年 24 巻 5 号 p. 808-812

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抄録
Scimitar症候群は部分肺静脈還流異常症の一亜型であり肺分画症をはじめ種々の合併奇形を併存することが知られている.症例は30歳代女性.背部痛を主訴に近医で胸部CTを行い,右肺から下大静脈へ流入する異常血管と右肺分画症を認め,Scimitar症候群を疑い当科紹介となった.肺動脈造影,大動脈造影を行い右肺から下大静脈へ流入するScimitar veinと下行大動脈から右肺S7に流入する異常血管を認めた.肺体血流比(Qp/Qs)は1.648,シャント率は39%であった.低酸素血症は認めないものの有症状であり,手術適応と判断し右下葉切除,異常血管結紮切離術を行った.切除標本の病理所見では右下葉は全体的に低形成であり気管支の走行異常を認めた.またScimitar veinは通常の肺静脈と異なり壁内の弾性線維の割合が高く中膜のコラーゲン線維が増加していた.
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